うぐいす色の野菜を美しく盛りつけた『新緑』という一皿。ルックスはフレンチ、湯葉や生麩といった食材は和食を連想します。いったい何料理? と評されることもありますが、店主の東浩司氏は即答で「中国料理です」。確かに、フレンチや和食の技法を使っていても、甜麺醤とフキノトウの味噌を包んで口に入れると紛れもない中国料理なのです。「消去法で中国料理、でいいんです」と東氏。常に心はパイオニア、中国料理を新たな段階に導くことが目標だとも。壮大な中国料理の体系を理解するからこその再構築。私たちはただ、料理の美味さに素直に驚き喜び、器や設え、どこかで「楽しかった」という記憶を残すだけでいいのです。