志摩市磯部町は、日本随一の養鰻場があったことでも知られる町。かつて伊勢へと続く街道筋にはウナギを名物にかかげた茶屋が数多く立ち並び、その味を競い合っていたといいます。天保年間創業の【川うめ】もそんな店のひとつ。旅館を営んでいた時代もありましたが、現在では周辺でも数少なくなったウナギ料理専門店として老舗の暖簾を守っています。そんな店で味わうべき一品は、4代目が考案したという『川うめ丼』。通常のうな丼とは異なり、ご飯の上に刻みのりと大葉を敷き詰め、短冊切りにしたかば焼きを盛りつけた名物です。ワサビを溶いた醤油をかけて味わえば、うな丼とはひと味違う、実にさっぱりとした味わいを楽しめます。