「日本におけるフランス料理の先頭に立ち続けること」自身の名を冠した【アサヒナガストロノーム】の朝比奈悟シェフは、店の理念をそう話します。無論、それは簡単なことではありません。しかし朝比奈氏には、その道筋が見えているのだと言います。端的に言えば「伝統の継承と、現代の革新」。「時代を越えて現代まで受け継がれている料理を紐解き、そこに新たな解釈を加えて再構築する。フィレ肉とフォアグラを合わせる理由、オマール海老の味わいの要素、食におけるワインの役割。あくまで論理的に分析した上で、そこに少々の閃きを加える」。だからこそ朝比奈氏の料理は、クラシカルな重厚さと軽やかな食後感が見事に同居しているのです。