繁華街から外れた後楽園通り沿いにある鮨店。店主の山本淳さんがここで握るのは「岡山という場所で食べる意味、価値のある鮨」。それは、言い換えれば岡山のテロワールをも落とし込んだ、ここでしか味わえない鮨といえます。山本さんの実家は創業70余年の江戸前鮨の名店【魚正】。その伝統の仕事を踏襲しつつ、ネタの多くを瀬戸内の魚にこだわるのは、「穏やかな県民性や気候とリンクするように、瀬戸内の魚には優しい旨みがある」との理由から。合わせるシャリも角のない酢加減で、見事なまでのネタとの一体感を楽しめます。カウンターの白木の一枚板も貫録十分。鮨とつまみ、旨き酒に酔いしれれば、この店にわざわざ足を運ぶ理由が分かります。