創業大正12年、江戸前寿司の伝統を頑なに守り続ける名店。その本質は、すべてのネタに施す丁寧な仕事にあります。柔らかく煮た蛤や穴子、オボロを挟んだ海老、筋を剥がした鮪、浅く〆られた光物。ひと手間加えることで、素材自体の持ち味がさらに輝きを増しています。シャリは白酢、赤酢、塩だけでさっぱりと。砂糖を一切使わないことで、米自体の甘みが引き立つのです。さらに品書きには手綱巻きや印籠詰めといった、見慣れない名前の寿司も。今ではつくれる職人さえほとんどいないという伝統の技を、その目と舌で体感することができるのです。築60余年の趣ある店で、伝統の寿司をひとつ。そんな風流なひとときがこの店で待っています。