賀茂川と高野川が合流する京都・出町柳に、ひっそりと佇む【弧玖】。古い町家を改装した店内に足を踏み入れると、細い通路の先に、白木のカウンターを配した清々しい空間が現れます。月替わりで供されるのは、素材に惜しみない手間をかけ、季節の移ろいを細やかに表現した料理の数々。店主の前田氏は、京懐石の名店【桜田】で約9年修業したとあって、その卓越した技にも納得です。素材選びにも一切妥協はなく、料理に使う水は、店の地下から汲み上げる良質な地下水。まろやかな軟水が食材の風味を引き立て、しみじみと奥深い味を紡ぎ出します。洗練された器使いや設え、心のこもった接客も素晴らしく、すべてにおいて一流の品格が感じられます。