オープンしてすでに四半世紀。店主の畠山貞雄氏は、この道ひと筋の職人ですが、挑戦する心を忘れない求道者でもあります。曰く「江戸前握りで当たり前の山葵も、誕生当初は使っていなかったのでは?」。今日の定石も元を正せば発明した人が必ずいる。そう考えるから畠山氏も美味の探究に余念はありません。例えば、マグロに行者ニンニクの組み合わせは、そうした姿勢の賜物。「試してみたら山葵とまた違うマグロの甘みが感じられた」という。ですが、当の畠山氏はいつも笑顔。新しい美味を発見し、盛り付けの美しさに感激するゲストを前に「私に絵心なんてありませんよ」とまた笑うのです。店主の穏やかな姿にも再訪を誓う、寿司の名店です。