青山の名店【海味】の二代目として暖簾を守った中村龍次郎氏が独立しオープンした【龍次郎】。ここで味わえるのは、おまかせの一本のみ。コースでは先付に続いて、名物でもある中トロの握りが挨拶代わりに一貫。その後、刺身や茶碗蒸し、焼物などが供されてから、およそ11貫の握りへ移っていきます。この緩急自在のテンポの良さ、そしてそこに差し込まれる中村氏の軽妙洒脱な話術こそ、この店の大きな魅力。だから、凛とした江戸前鮨店の雰囲気が漂いながらも、居心地の良さは抜群なのです。鮨は江戸前の仕事を追求する一方で、シャリやネタは常に進化させるのが中村流。肩肘貼らずに楽しめる江戸前鮨を求め、通い詰めたくなる一軒です。